キャリア 41年!自治体職員としての実績を活かし、ITベンチャーであらたな挑戦をはじめた 高川 佳都夫さんにインタビュー
ポジション:公共政策部門
Bespoke歴:2022年4月から
社会人としてのキャリアのほぼすべてを地方公務員として全うされたのち、心機一転、ITベンチャーへ身を投じることになった高川佳都夫さん。全くの異業種から、しかも定年退職後の転職という、いわく “世にも不思議な” 転職物語。その成功の秘訣について伺いました。
大学をご卒業されてからずっと、自治体職に従事されていたと伺いました。具体的にはどんなお仕事だったのですか?
41年と聞くと長い年月ですが、内部ではだいたい3年おきに部署移動があるんです。民間企業でいえば転職と同じです。教育、財政、企画、広報、市民協働、子育て支援など、さまざまですね。
業務はそれぞれまったく違うものですから、その都度ゼロから仕事を覚える状況でした。自分にとっては初めての部署でも、市民のみなさんには関係ありませんから、ポーカーフェイスで応答しながら裏で部下に聞いたりして仕事をおぼえていました。1年くらい経つとだいたい自分の考えを政策に活かせるようになってくるんです。
とくに思い出深い部署などはありますか?
キャリアの長さでいうと、11年所属した財政担当です。国でいう財務省。予算を組んだり、決算をまとめる仕事です。市役所の中でも重要な部署で、仕事もかなり大変でしたが、財政、予算の面、決算の面で、市役所の内部のあらゆる部局の仕事を知ることができたので、非常に勉強になりました。
自身の成長面でいうと、財政のあとに担当した市民協働です。市役所の中でもまちづくりの要になる部署で、その街のまちづくりに関する基本的な理念をまとめて、自治基本条例を策定しました。近隣の市町の協働担当のみなさんとも勉強会を通じて情報共有し、街づくりを勉強させていただきました。
そこまで多種多様な職務をこなせる秘訣をおしえてください。
相手の懐に飛び込んでいって、人との繋がりを広げていくことです。市役所にいるだけで仕事を完結するのは全然だめで、なるべくいろいろなイベントに赴いて、市民の中に入っていって、一緒に楽しんだり汗をかいたりする。そしてお話を伺う。そういうことを一生懸命にやっていました。
子育て支援に携わっているときは「市役所って何をしているのかわからない」とお母さんたちにいわれてショックだったんですが、それをきっかけにFacebookで市役所のさまざまな情報を発信したんです。市役所を身近に感じてもらえるようになって、そこからまたさらに繋がりが広がりました。
では、Bespokeに入社することになったきっかけについておしえてください。
去年の12月までチャットボットというシステムそのものを知らなかった60過ぎのおじさんが、なぜITのベンチャー企業に入ったか、世にも不思議な物語ですよね。笑。
実は牧之原市の元市長の西原茂樹さんが主催していたclubhouseに、代表の綱川さんがゲスト出演されたのがきっかけです。その後、西原さんが綱川さんを連れて掛川市長に面会に来たときに、たまたま綱川さんとお会いし、一緒に話をしたんです。
そのとき私は退職後の仕事を探していて、Bespokeはちょうど全国から自治体経験者を採用したくて、探しているというタイミングだったんです。私は財政経験もあり、市民協働のときには多文化共生や男女共同参画にも携わり、観光シティプロモーション課の経験もありました。Bespokeが扱っているチャットボットの分野をだいたい網羅していたんですね。そんな経歴もあって「4月からBespokeで働いてみませんか」とおっしゃっていただきました。
ベンチャーへの参画、決め手はなんだったのですか?
綱川さんはいつも「チャットボットで世界制服する」とおっしゃっていて、そういう大きな野望をもった人と働くことに興味が湧きました。一言でいうと経営者の魅力ですよね。
それと実は現役の頃、やりたくて出来なかったのがリモートワークだったんですよ。憧れみたいなものがありましてね。Bespokeは基本リモートワークということで、人生で一度はそういう経験をしてみるのもいいかな、と。動機としては、軽い動機ですが。笑。
実際に働いてみてどうですか?
憧れていたリモートワークは思ったほど楽じゃないですね。システムの使い方もわからず、入社したばかりの頃はIT用語もわからないので会議の内容もさっぱりでした。
でもありがたいことに、そういった苦労を察していただいて、最初のうちは毎日必ず1対1のミーティングで困っていることやわからないことを丁寧に教えてもらえました。だんだんとシステムの使い方にも慣れてきて、1ヶ月半くらい過ぎたころから、少しずつ自分も仕事に参加できてきているなという実感が出てきました。
「自治体の方からこういうこといわれたのだけど..」とか「自治体ってこういうことあるんですか?」と経験者として頼りにされる場面も出てきて、自分の存在価値というか、自己肯定感も最近は出てきました。仕事がおもしろいと感じてきています。
では、現在のBespokeでのポジションについておしえてください。
公共政策部門の営業担当です。上司は、いまある契約のほぼ全てをとってきたような、非常に優秀な方で、その商談に参加させてもらって書類関係の準備や、議事録作成といったサポートをしながら学んでいます。
あとは、リサーチに力を入れています。自治体の予算のなかにチャットボット構築予算があれば問い合わせをして事業内容を伺ったり、チャットボットの説明をさせてくださいとアプローチをしたり。最終的に契約までもっていくためにどうするか調べていくなかで、自治体独特の用語などもすぐに理解できるのは経験者ならではだと思うので、これまでの経験を活かせているなと思います。
ワークスタイル以外での変化についてはどうでしょうか?
ベンチャーと行政とでは、情報のやりとりのスピード感がまったく違います。行政の場合、担当者がつくった紙の起案書に、まず係長に話して判子をもらい、次は課長補佐、次は課長、その次は部長で最後が市長です。ひとつのことを意思決定するのに、長いときには1ヶ月くらいかかるときもあるんですね。いまは、社長が即断即決してくれます。そういったスピード感は、公務員の方も一度、民間で経験したほうがいいなと感じています。もし私がまた公務員に戻ったら、現役のときよりいい仕事ができる自信があります。若いときに民間で経験をつんで行政にフィードバックをすることで、行政の運営を改善していくこともできるんじゃないかと思います。
今後、Bespokeでやってみたいことはありますか?
商談でいろいろお話を伺うと、自治体ならではの苦労とか、担当者の苦労ってよくわかるんですよ。自分も現役の時にそういう経験したよなというように、相手の痛みのわかる営業マンになりたいです。共感できるがゆえのご提案もあると思うんです。ご契約いただくことがメインですが、Bespokeのチャットボット導入してよかったな、自治体のOBがいて相談もしやすかったなといっていただけたら、私が入社した甲斐があると思います。
社内に対しても同じで、自治体への対応に苦労しているメンバーもいるので、歳も最年長ですし、みなさんにとって気軽に相談できるおじさんみたいになれたらいいかなと思っております。